すると、後ろから女子の大きな怒鳴り声が聞こえた。振り返ると、高野さんの向かいに一人の派手な女子が立っている。



「化粧も指定外のネクタイもスカート丈も、直して」
「は?マジうざいんだけど!」
「早く直して。違反してるのはそっちでしょ?」
「…………化粧は?」
「職員室で化粧落とし借りられる」
「ほんと最悪なんだけど!!」



 高野さんが注意していたのは、隣のクラスの見るからに派手で、カーストの上位にいるような女子だった。


 せめて言葉を選べば結果は違うのに。私がじっと高野さんの背中を見つめていると、視線がばちりと合う。


 しかし、次の瞬間逸らされてしまった。


 徹底的に、私のことを避けるつもりらしい。



「……分かりやすいなぁ」




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