そして、次の瞬間両手で顔を覆い、勢いよく下を向いた。
私は突然のことに驚き、先輩の肩を叩く。
「せ、先輩っ……!大丈夫ですか?」
「大丈夫なわけないでしょ。可愛すぎる」
「え?」
「えーーー、もう、本当に俺の彼女可愛い……」
先輩が顔を覆った手を少しずらし、口元だけを手で覆って、私をじいっと見つめる。
頬は赤くなっていて、珍しく余裕のなさそうな姿がなんだか面白くなり、私はふふっと肩を揺らして笑う。
「何笑ってるの。いやぁ、けど良かった。振られちゃうのかと思って不安だったから」
「振りませんよ」
「そっか、ならよかった……ねぇ、奈湖」
ふと、先輩が私の頬に触れた。そして、その手はするりと移動し、親指で唇をふにっと触る。
キョトンとする私に、先輩はにっこりと微笑みながら口を開く。
「はじめて、貰おうかな」
「えと……なんのですか?」
「キスしたい、奈湖と」
爆弾が放り込まれた。



