私は、スカートをこぶしをぎゅっと握りしめ、無理矢理笑顔を作った。先輩は、何故か眉間に皺を寄せ、きゅっと唇を噛み締めている。
「おかしいのは、私だったから」
「違う」
「だから、みんなと同じなら普通になれるし、傷付けられないから」
「奈湖」
「無理してでも、悪いことから目を背けるのが、みんなの言う正しいなんだから」
「いいから、もういい」
両肩を掴まれ、引き寄せられる。先輩の胸に抱き込まれ、ぎゅうっと背中に回された腕に力を込められる。その力強さに、なんだかすごく泣きたくなった。
「────ごめんね」
何故か、私の耳元で響いた先輩の声も泣きそうで、私は反射的に先輩の背中に腕を回す。



