「……もう、こういうことはしません」
「どうしたの?」
「きっと先輩なら、私が助けに入らなくても上手くやってただろうし」
「そんなことないよ。奈湖が助けてくれて嬉しかった」
「……決めたんです。けど、私の意思が弱いから」
そう、さっきは先輩がピンチな状況を目にして飛び出した。本当の私は、とか一瞬でも考えたけど、この本当の私のせいで痛い目を見たんだ。
早く、周りと同じに慣れないと。普通にならないと。
俯いた私の手首が、優しく掴まれる。そしてグイッと引かれた。
「……奈湖の話を聞かせてくれる?」
先輩の表情はどこか寂しそうで。けど、なんでそんな顔しているのか分からない。
人混みを通り抜けたどり着いたのは、最初に先輩と付き合うことになった噴水広場だった。



