「お前!!人生の先輩に向かって、なんて口の聞き方をしてんだっ!!」
男が立ち上がり、先輩の胸倉を掴む。そして、テーブルの上のアイスコーヒーのグラスを手に取った。
これから起こることを想像し、私は思わず席から勢い良く飛び出す。その時、高野さんの言葉が脳裏をよぎった。
「私のこと、助けたつもりだった?いいことしたつもり?」
────違う。
「いつも教室だと、人の顔色伺って合わせてばかりだよね。だからさっきも、雰囲気読んで勇気出してみたんでしょ?」
────そんなことない。
困っている人がいたら、助けたい。間違えていることは間違えていると言いたいの。
雰囲気読んで、人の顔色を伺う自分なんて大嫌いなの。
心より先に、身体が動いてしまうの。
────だって、私は、本当の私はっ。



