もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




 待って、注文を間違えたのは店員さんのミスかもしれないけど、あそこまで怒鳴るのはおかしくない?虫の居所が悪いのか、男はずっと店員さんを罵り続ける。すると、店員さんは俯き目に涙を溜めた。


 男は、鬼の首を取ったかのように、どこか嬉しそうに声を荒げる。



「若いからって、泣けば何でも許されると思うなよ!お前みたいなバイト、代わりなんていくらでもいるんだよ!お客様は神様なんだ!よーく覚えとけ!!」



 あまりの言い様に私がぐっと唇を噛むと、先輩がゆっくりと立ち上がった。


 そして、男の席までゆっくりと進み、立ち止まる。



「すみません、うるさいんですが。少しお静かにして頂けますか」
「あ?なんだガキ」
「店員さんのミスを指摘するなとは言いませんが、あなたの態度はこの店の雰囲気を壊していますよ」
「っ、う、うるせぇなっ」
「お客様は神様なんですよね。だったら逆に、それらしい言動や行動をした方がいいと思いますが」



 先輩の歯に衣着せぬ言い方に、男は言葉を失う。しかし、次の瞬間────。