「おはよう。早いね」
「先輩、おはようございます」
「初めての頭髪検査だから緊張してる?」
「そ、そうなんです」
「大丈夫だよ、みんな注意されたら素直にその場は直してくれるから」
朝からうっとりとするほどきれいな笑みを浮かべる先輩を見て、少し心が落ち着く。
私が暗いのを委員会活動のせいだと思ったのか、先輩は私に優しい言葉をかけてくれた。
けど、何かを思い出したのか、先輩は私に耳打ちをした。
「二年にね、一人だけ絶対に注意しても従わない奴がいるんだ。背が大きくて人相悪めの、香坂ってやつなんだけど」
「は、はい」
「そいつは一年の頃から俺が注意する担当になってるから、奈湖達は見つけてもスルーしてね。危ないから」
「危ないって」
────動物じゃないんですから。
そう先輩に笑って返し、冒頭に戻るわけで。私のペアの高野さんが、香坂先輩に注意をしてしまい、正に今命の危機というか……。



