もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




 目を細め、先輩は楽しげに笑う。


 今は昼休みで、屋上に先輩と二人きり。5月後半とはいえもう日差しも暑いから、日陰でお弁当を広げた。


 先輩は細身だからあまり食べないのかと思っていたけど、意外にもがっつりとした男子校生らしいお弁当で驚く。こうやって一つ一つ先輩の知らない部分を知っていくのは楽しいかも。


 私がお弁当のミニトマトを食べていると、先輩が私のお弁当箱を覗き込んでキレイな形の眉を下げた。



「奈湖、少食なの?」
「え?あぁ、まぁ、あはは……」
「ダメだよもっと食べなきゃ。大きくなれないよ?小さくても可愛いけど」
「先輩もうとっくに私の身長止まってます」
「じゃあいつまでも小さくて可愛いままなんだね」
「先輩って視力悪いですか?」
「そんなことないよ」
「そんなことないのか……」



 あまりに可愛い可愛い言われるら、一か八か先輩の視力が悪い方にかけてみたけど、そんなことなかった。


 先輩から見て私ってどんなふうに見えてるんだろう……。ペットとかそっち系かな?そうじゃなきゃ絶対におかしい。