奈湖、友達に俺とのこと言おうとしてくれてたね。嬉しいよ」
「……それは言いますよ。そうじゃないと他の男子を紹介されちゃうし」
「うん」
「先輩がいたら、他の男子なんて目に入らないですもん」



 花宮先輩みたいなかっこいい人が、同情や心配だからとはいえ彼氏になってくれたら、他の男子なんて霞む。


 先輩が無言だな、と思っていると、何故かさっきの私と同じように心臓あたりを抑えて頬を赤くしていた。



「えぇっ、先輩っ??」
「奈湖ダメだよそれは反則だよ」
「えっえっ?本当にちょっと良くわかりません」
「……俺の奈湖が今日も可愛い」
「俺の……」



 焦ったけど先輩は思ったより大丈夫そうだ。とりあえず私はこの後教室に戻って二人に説明をしなきゃいけない。


 もうすぐ朝のチャイムも鳴るし、教室に戻らなきゃと口を開こうとすると、クイっと手首を緩く掴まれた。