「なんで先輩が届けてくれたんですか?」
「俺が届けたいですって委員長に言ったからかな」
「…………」
「学年が違うから、チャンスがあるなら少しでも顔を見たいからね」
「っ……ぐぅっ」
まるで、当たり前かのような先輩の言葉に心臓を撃ち抜かれる。
私が心臓を抑えて唸ると、先輩は私に視線を合わせ、不安そうにこちらを見つめる。至近距離だと女子の私よりも長いまつ毛とか、きめ細かな肌とか、うっかり見惚れてしまう。
「奈湖どうした?体調悪い?」
「うぅ……ほんと眼福」
「え?大福?食べたいの?」
「もうちょっとよく分からないですけど、私は元気です」
とにかく近くで見るのやめて!至近距離の花宮先輩は王子様が過ぎる!!
私が一歩後ろに下がると、先輩は残念そうに眉を顰める。けど、次には元の機嫌の良さそうな先輩に戻った。



