もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜





「そんじゃ、奈湖。あとは二人で楽しんでね!」
「えっ……!待って、二人ともっ」




 花宮先輩に悩みを打ち明けて3日後の放課後、私は駅前のスタバの前で友人二人の腕を掴み焦っていた。


 だって、目の前には、フェードアウトを狙い連絡頻度をあからさまに減らしていた小池くんが。見ただけで、機嫌があからさまに悪いのが分かる。


 そうしていればきっと勘づいて私から興味を失ってくれるだろうって思ってたのに。


 小池くんが来るなんて聞いてないし、きっと3人で勝手に話を合わせたんだろう。私は人の目なんて気にせず、帰ろうとする二人に小声で懇願する。



「お願いっ!二人きりにしないでっ」
「え?どうして。っていうか、小池が奈湖からあんまり連絡来ないって気にしてたよ。だから今日あいつ呼んだの。直接話した方がいいでしょ?」



 何を直接話せというのか。ついこの前まで他人だったし、というか、ほぼチャットでしか話したことないし……!!


 小池くん、眉も妙に細いし制服の着こなしもゆるゆるだし、人は見た目で判断したらいけないって分かるけど、チャットもしつこいしもう正直関わりたくないのに。


 友人二人は私が照れてると思ったのか、深く頷き私に耳打ちする。



「明日、良い報告待ってるね」
「恋人がいると毎日楽しいよ」



 顔を青くする私に手を振り、二人は駅構内に消えていってしまった。


 私は呆然とその場に立ち尽くす。え?こ、これ……一体どうしたら……。