────あれから数週間、夏休み。


 クーラーの効いた涼しい私の部屋、テーブルに広げられた宿題。けど、そんなことはそっちのけで、私の思考は大パニックに陥っていた。


 背中にはフローリング、私を見下ろす、視界いっぱいの真剣な表情の花宮先輩。


 これは、まさか────。



「…………奈湖」



 花宮先輩の甘い声が響く。