「高野さん」 「花宮先輩、こんにちは」 放課後、教室から出たすぐの廊下に、高野さんが立っていた。 高野さんとは、奈湖が居ない限り会話もない。もしかして同じ委員の広瀬に用事でもあるのかと思い、教室を指さす。 「広瀬に用事? 呼んでこようか?」 「いえ、花宮先輩と話したくて来ました」 「えっ」 「今、お時間ありますか?」 真っ直ぐに見つめられ躊躇う。けど、その真剣な表情から、大切な話だと思い、俺は頷いた。