香坂先輩からの問いに、私は言葉を詰まらせる。
花宮先輩にダメなところなんてなかった。ダメな私を、助けてくれていたんだから。
指先が白くなるほど、ぎゅっと拳を握りしめていると、そこに大きな手が重ねられた。それが香坂先輩の手だと認識したのと同時に、握りしめた拳を解かれ、優しく包まれる。
「好きなのに、なんで別れた。どうして無理してる」
「…………」
「お前が辛そうだと、嫌なんだよ俺は」
「……香坂先輩」
「ほら、独り言だと思って。吐き出せよ」
手にじんわりと伝わる香坂先輩の体温に、がんじがらめになった心が解けていく。
それと同時に、最後のデートで繋いだ花宮先輩の大きな手を思い出し、どうしようもないくらい悲しくなる。
気持ちの波が大きくて、飲み込まれて動けなくなりそうだ。だったらもう、ここで話してしまっても、いいのかな。
「元々、私達……私がどうしようもなかったから、花宮先輩が彼氏になってくれたんです」
「────は?」
私の言葉に、香坂先輩は固まった。
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