「奈湖じゃねーか」
「香坂先輩」
「また具合悪いのか?」
「ちょっと、頭が痛くて。先生は?」
「今不在」
「香坂先輩は何してるんですか?」
「さっき、体育のバレーで突き指したみたいで、今になって痛くなった」
保健室のドアを開くと、ソファーに香坂先輩が座っていた。
包帯を巻いた指をこちらに見せ、近づいてきた香坂先輩は、私のおでこにぴたりと手を当てた。
「熱はねぇな」
「寝たら直ります」
「それなら早く寝ろ」
「えっ」
先輩は、私の手首を掴むと奥のカーテンを開き、そこに放る。私はされるがまま、清潔で柔らかなベッドに顔面から倒れ込んだ。
「ちょっと、雑です!」
「うるせー」
「う」
バサリとタオルケットを掛けられ驚くと、パイプ椅子を引っ張ってきた香坂先輩がベッドの横に座る。
そして、じっとこちらを見つめた。



