放課後、今日は花宮先輩と帰る約束をしていたから、迎えに来てくれるまで教室で待っていた。
なのに、待てど暮らせど先輩は来ない。チャットも返ってこない。いつの間にか教室には誰もいなくなっていて、時計もいつの間にか17時前。
今まで、一度もこんなことはなかった。
「先輩の教室、行ってみよう」
もしかしたら何かあったのかもしれない。妙な胸騒ぎがして、私は教室を出て、普段足を踏み入れない二年生の階へと向かった。
二年生の階の生徒も、ほとんどが帰るか部活に行くかしていて残ってはいなかった。
シンとした廊下を進み、先輩の教室の前に辿り着く。そして、ドアを開けようとした時────。
「意外だった。まさか、花宮に彼女ができるなんて」
女子の声、その声には聞き覚えがあった。
委員会で聞いたことのある。──広瀬先輩の声だ。そして、先輩は花宮先輩の名前を口にした。
中には、二人きり……?



