もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




 SNS上に写真を載せられていることを知ってからというもの、俺の心は何も感じなくなっていた。


 もう俺の心に、この状況に抵抗する気力が残されていなかったから。


 今日も普通に生活をしているだけで、歩いているだけで、どこからかシャッター音が聞こえる。


 不快感を堪え、何でもないふりをする。最近何を食べても美味しくない、夜も眠れない。笑顔さえ作れなくなっていた。


 周りはそれでも、王子様の憂いた表情が素敵だとか、どうでも良い理由をつけて騒いでいる。


 くだらない。どうでもいい。


 たまたま立ち寄った本屋でまた写真を撮られそうになって、けどそれに対して何もするつもりはなかった。もう好きなようにしてくれと思ったんだ。


 こんなこと、おかしいと思う俺がおかしいんだろ。SNSの時代で、みんなが顔を出すのが当たり前になっていて、嫌だと思う俺がおかしい。


 それでいいと思ったのに。


 ────だからこそ、目の前に突然現れた、中学生だった奈湖の言葉に本当に驚いたんだ。