もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜




 俺は無言で頷き、すぐにその場を後にした。人目を避けたくて焦って帰宅し、母からのおかえりという言葉に返事もせず、部屋のドアを乱暴に閉めた。


 こんなこと絶対におかしい。けど、写真に対するコメントは肯定的なものばかりだった。


 ────俺がおかしいのか?



「……おかしくない」



 何が王子様だ、何が王子様らしくだ。


 俺はどうしてこんなことしてるんだ。


 周りから望まれるまま、仮面を被ってやった。なのに、もっともっと深く、みんなが望む姿になれと言うのか?



 ────息ができない。苦しい。


 
「……死んでしまいたい」



 きっと、誰に相談しても無駄だと思った。辛い、苦しい、もう全部をやめてしまいたい。

 




 誰も分かってくれない。



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