「花宮。あんたの写真、インスタに出回ってるよ」
「…………は?」
「『#王子様』だって」
「ちょっと、見せて」
委員会後の教室で、俺は驚き固まった。
高校に入学し、相変わらず俺は王子の仮面を被っていた。
そして風紀委員に入り、中学時代と変わらず張り付けた笑みを浮かべる俺に、ただ一人普通に接する珍しい異性のクラスメイトの広瀬は、スマホの画面をこちらに向ける。
画面には、数はそこまで多くないにしろ、通学電車や学校内、いつ撮られたか分からない隠し撮りのような物が並んでいた。
────気持ち悪い。
「花宮、大丈夫?」
「…………」
あまりの不快感に、画面から目を逸らし口元を手で覆う。正直、その場で吐きそうだった。
広瀬は俺の背中をさすりながら、話を続ける。
「ごめん。話すべきか迷ったけど、知らないことほど怖いことってないから」



