そんな当たり前の喜怒哀楽を制限される。イメージを押し付けられ、仮面を外すなと押し付けられる。
疲れた。疲れたから、もう周りからのイメージ通りでいようと思った。
「────くだらねぇ」
「……なに」
中学3年の時、同じクラスに香坂がいた。
いつも喧嘩ばかりで生傷が絶えず、周りから距離を置かれている。なのにサボらず学校に来て、授業をキチンと受ける変な奴。
下校中にコンビニの前で鉢合わせ、吐き捨てられた言葉に思わず立ち止まる。
香坂は表情の抜け落ちた顔で、俺の顔をじっと見つめていた。
「俺もお前も、くだらねぇよな」
「だから、何がだよ」
「分かんだろ」
全てを見透かしたような視線に耐えられず、俺は香坂の言葉に返答せずその場を後にした。
くだらない。分かってる。
「そんなこと、分かってるんだよ……!!」
だけど、お前何が分かるんだ。俺はそこから、香坂のことがより一層苦手になった。



