自分で言うのもなんだけど、俺は小さな頃から、自分の整った容姿を自覚していた。
だけどそれ以外、特に特別なこともない。普通の子どもだった。
けど、変化が訪れたのは中学に入った頃。みんなが恋愛に興味を持ち、異性を特別な目で見るようになる。
分かりやすく俺は、その対象にされた。
「ごめん、無理」
放課後の教室、茜色の夕日が差し込むその場所は、告白の定番だったんだと思う。
話したこともない、名前もクラスも知らない女子からの告白を断った。
知らない人間から突然、『好きです付き合ってください』なんて言われて、『いいよ』なんて答える人間は少ないと思う。目の前の女子も、断られることを想定して告白してきたんだろうと勝手に思っていた。
なのに、女子の目にはみるみるうちに涙が浮かび、泣き出してしまった。