香坂先輩は私に視線を戻し、話を再開した。
「あと、この前のこと、なんとかなった」
「えっ」
「全部話した」
「よ、よかった……」
「奈湖、大丈夫?」
思わず花宮先輩の腕にしがみついたまま、へなへなと座り込む。
本当は、ずっと心配で仕方なかった。
花宮先輩には、香坂先輩と二人で話したことを、内容は伝えずに言ってあった。問い詰められたけど、どうしても軽々しく人に言えるような内容じゃなかったからずっと黙っていた。
よかった、本当に。
花宮先輩はそんな私を見て小さくため息を吐き、頭を撫でてくれた。
「奈湖、ありがとな」
「そ、そんな、私はなにもっ」
「そうだよ香坂。奈湖は優しいからお前の悩みを聞いてやっただけだ。話が済んだなら帰れ」
「あ?なんだよ冷てぇなぁ。黒染め仲間だろ」
香坂先輩の煽るような言葉で、私と花宮先輩は一時停止した。
……え?花宮先輩って。



