その数分後、私は息を切らし屋上のドアの前にいた。手には湿布と絆創膏の入った袋。


 私にしては頑張った方だと思う。ここから保健室まで走って、戻ってきたんだから。


 これをドアノブに引っ掛けて、教室に戻ればギリギリ次の授業に遅刻せず済む。


 乱れた息を整えつつ、ドアノブに袋を掛けようとした時だった。



 ────ガチャ



「えっ」



 ぬるい風と共に、にゅっとドアの隙間から伸びた手に手首を掴まれ、私は屋上へと転がり込み地面に膝をつく。


 そして、私の手首を掴んでいるのは。