「奈湖!!」
そこには、花宮先輩が息を切らし立っていた。
開いたドアに背中を預け、香坂先輩の腕に閉じ込められていた私は解放される。
「大丈夫?心配した」
「先輩、来てくれたんですか……?」
「当たり前」
ふらついた私を花宮先輩は軽々受け止めてくれた。花宮先輩の匂い包まれ、ホッと身体の力が抜ける。そして、花宮先輩は私を背中に隠し、香坂先輩の肩を力強く掴んだ。
その圧から異常なほどの怒りが伝わってくる。花宮先輩のことを、初めて怖いと思った。
香坂先輩は、そんな花宮先輩を見ても表情を変えないどころか、楽しそうに笑っている。



