「ぅわっ!!」
「…………」
どこに連れて行かれるのかと思ったら、第二校舎にある美術室に放り込まれた。
尻餅をついた私を尻目に、香坂先輩は扉を閉め、私に視線を合わせるようにしゃがむ。
獲物を捕らえる肉食獣のような視線に、私は喉の奥から変な声を出し、後ずさる。
「なんなんですかっ……な、殴るなら一思いに」
「なんでだ」
「え」
「どんな目的で、俺のことを助けた」
香坂先輩は眉間に皺を寄せ、不機嫌そうに口を開く。私はその言葉で固まり、妙に冷静になった。
何で助けた?え?なんでって……。
「それとも何か?生活指導の教師にもうチクってあるのか?」
「……誰にも言ってません」
「じゃあ、何のために助けたんだ。恩を売ったつもりかよ」
「そんなことないです」
「訳分からねー」
「もしかして、香坂先輩はそれを聞くために私を連れてきたんですか?」
「そうだよ。悪いか」
先輩は相変わらず不機嫌そうだが、どうやら私をボコボコにするつもりはないらしい。
身体の力が抜ける。よ、よかった……!!
けど、香坂先輩はどうやら誤解をしているみたいだから、解いておかなければならない。



