「奈湖って、ちゃんと自分の考え言える子なんだね」
「今までの、にこにこしてるだけの姿よりこっちのがいい」
「あ、ありがとう……」
「けど、松井が言ってたこと気にしなくていいからね。奈湖は奈湖だから」
松井さんの言葉を思い出し、ちくりと胸が痛む。
『横に並んでて恥ずかしくない?』
周りから見たら、そう思えるのかな?確かに先輩はかっこいいから、私がもっと努力しなくちゃいけないのかな……。
少しだけ気落ちした私に、黙ってこちらを見ていた高野さんが口を開く。
「大丈夫だよ」
「え」
「周りの目なんて関係ない。大切なのはお互いでしょ」
「……それと」
真っ直ぐな言葉で、ひどく落ち込みそうだった気持ちが掬いあげられる。
真っ直ぐで、猫を被らない。正しいと思ったことを口にする高野さんの言葉だからこそ、信用できる。
すると、高野さんは一瞬戸惑ったように目を泳がせ、ゆっくりと私と早紀と彩菜を順番に見つめた。
「本当の友達になったんだね。酷いこと言った。ごめん」
──── いつも一緒にいるあの二人、本当に友達って言えるの?
「……ううん、いいよ」
あの言葉を言われた時、私も正直この二人のことを信用しきれていなかった。
きっと中学時代の友人らと変わらない、だからこちらも素を見せることはないと。
だけど、高野さんとのことがあって私は自分を改めて見つめ直せた。二人のことも知れた。
「二人、仲良くなったんだね。つうか、高野さんすごいズバッと言うよね。私嫌いじゃないからね」
「……ありがとう」
「背ぇ高い。何センチあんの?」
「170近くある」
「マジか!カッコいい」
「そう?そんなこと言われたことない」
私達の雰囲気を察知し、早紀と彩菜は高野さんに絡み出す。高野さんも今までの話かけるなオーラはなく、普通に会話をしている。
これからの学校生活が大きく変わる予感がする。
嬉しくなり、自然と口角が上がった。
そんな私を、先に歩いていた高野さんが振り返る。
「────小森さん、行こう」
「うんっ」
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