「なんで?」

「自分は先が長くないからって。私の将来を奪う権利なんてないって、言われました」

「今でも好きなの?」

「…でも、もう会えません」

「俺だったら、いつでもお前のそばにいてやれるけどな」

 三宅先輩は私の手をとって自分に引き寄せ、私を抱きしめた。

「あの人と話してるときのおまえ、見たことない顔してた。好きな人の前ではこんな顔するんだって。俺、あのとき嫉妬したんだ。声をかけずにはいられなかったよ。俺、ずっとケイちゃんのことが好きだったんだ」

 彼からのいきなりの告白に驚く。ずっと好きだったって?私のことを?

「俺にしとけよ。あの人のこと、忘れるくらい大事にするから」

 私を抱きしめる両腕に力がこもる。彼の気持ちが痛いくらいに伝わってくる。

 でも、私は…。

「三宅先輩…」

 そっと彼を自分の身体から離す。

「すごく、嬉しいです。でも、西島さんのことを忘れられないまま、他の誰かと付き合うなんてこと私にはできないです。ごめんなさい」

「おまえって誠実なのな。惚れ直しちまうだろうが」

「惚れ直…!?」

 再びぐっと身体を引き寄せられ抱きしめられる。