どうにもこうにも~出会い編~

 思わず口走ってしまった言葉に恥ずかしくなった。

誘っているみたいに聞こえたかもしれない。

いや、実際自分は誘っているのかもしれない。

彼も予想外だったようで少し驚いたみたいだった。


後悔した。


「私の晩酌に付き合ってくれるんですか?」

 彼は真面目な声で言った。

心臓が飛び跳ねた。

私は彼の言葉に驚いて言葉に詰まった。

彼の顔を直視できない。


「冗談ですよ」


 横目で彼を見ると力なく笑って、「私は疲れていますね。今日は早めに寝ます」と付け足した。

 私は何と言っていいか分からず俯いてしまった。


電車が来るまで私たちは一言も喋らなかった。