「お母さーん!見てみて速い?」
ずっと入院生活だった私は走ることが憧れでどこまでも走って行けるような気がした。
「わぁ〜もも速ーいお母さん追いつけないわ〜」
「へへっ」
私は全ての治療を終え日本へと帰国した。
「そうだまず戻ったら王子様に会わないとね」
お母さんがニコニコと私にそう言う
「王子様?だれ、それ?」
「え、」
私の反応が思ってたのと違ったらしくお母さんは酷く驚いていた。
「ほら、前に病院で仲良くなった男の子よ、覚えてない?」
「もも知らないよ」
後遺症がないと思っていた私は手術を受けた日よりも前の記憶がなかった。
そうして記憶は戻らないまま時が過ぎていった。



