スゥー

「お待たせしました先輩」

軽く息を吸っていつものように振る舞う。


手すりに寄りかかっていた先輩はわたしに気がついたのか視線がバチッと交わる。


「突然呼び出して悪かったな」

何を考えてるか分からない先輩の顔。


「いえ、大丈夫ですよ」

いつもと変わらないように、普通に....

大丈夫....大丈夫。

不安からなのか手に力が入る。



「この間のこと無かったことにしてくれ」

「......」

あぁ....やっぱり....


あのキスは先輩にとって過ちみたいなものなんだ。

あのキスにはなんの意味もなかったんだ...