「……ナナセ、くんは」
「部屋にいるわよ」
ふぅん。まだ家にいるんだ。
「呼ぶ?」
「い、いえ。うつるといけないので。ママさんも、ここから出てもらった方が」
「それじゃあ。なにかあれば呼んでね」
「ありがとうございます」
一人で暮らしたいなんて思ったこともあったけれど、弱ったときに誰かに優しくしてもらえると、泣きそうなくらい嬉しい。
ナナセは一人でちゃんとやっていけてるのかな。
あのマネージャーさんが面倒みてくれてるとか?
それとも日替わりで美女がお世話しにくるとか。
「……ありえる」
「目ぇ覚ましたかよ」
「!!」
部屋の入口に、ナナセが立っていた。


