――――ヤツは、高校1年生だった。
つまり、わたしの一つ下。
「敬語使う必要ないじゃん」
自立してるみたいだったし、デカかったし、てっきり年上かと。
「どしたの。なんか、やつれてるけど」
不思議そうに亜依に見つめられる。
「寝不足」
「あー。使いなれた枕じゃないと眠りにくいっていうしね」
枕の問題ではない。
滅多に帰って来ないらしいのが、救い。
あんなのと同居できっこないから。
「更衣室いこ、アキラ」
「うん」
校内を歩いていると
「あの先輩かっこいい……」
「いやあれ女だから」
「それでもいい。推せる」
妙に視線を感じるのは、髪型と制服のせい。
「今日も女の子をトリコにしてるね。アキラくん」
「悪い気はしない」
スカートじゃなくスラックスを選んだのは、パパの指示。
「今年もバレンタインは男子よりチョコもらって恨まれるんじゃない?」
恨むなら、わたしじゃなくてパパにしてくれ。


