スマホがポケットの中で震える。


【昼休み図書室】


…………は?


「なんで来るの」

「退屈だから」


まさかとは思ったが

指定された時間に指定された場所へ行くと

変装したナナセが、うちの生徒に扮して図書室で本を読んでいた。


アンビリバボー。


「自分の学校行きなよ」

「ここ、全然利用されてねえな」

「あー。テスト期間中は混むけど……じゃなくて。帰れ」

「ときどき考えるんだ」

「……なにを?」

「今の世界にいなきゃ。どんな生活送ってんだろうって」