「……全滅だった」
教室に入ると、一足先に着いていた亜依がすさまじく落ち込んでいた。
「ぜ、全滅?」
「ユズの写真集発売記念イベント」
駅で女の子たちが話してたアレか。
亜依は、親戚の名前まで使ってたくさん応募してたんだよね。
「生ユズ拝めるチャンスが……」
今朝、そのナナセが起きたら布団の中にいたなんて知られたら呪われる気しかしない。
みんな、ユズを一目見ようと一生懸命なんだ。
「同じ空気吸いたかった」
亜依にナナセを会わせてあげられたら、どれだけ喜んでくれるだろう。
まあ、前に2人は駅前で会ってるんだけど。


