パーティーの後片付けを手伝っていると、ナナセに「こっち頼むわ」と呼ばれる。
「どこ?」
「片付けなんてやらなくていい」
「……は」
「こっからは。2人の時間だろ」
手を引かれ、家を出る。
「どこ行くの。こんな時間に」
後部座席に乗せられると、となりにナナセが乗り込んできて、車はすぐに出発した。
どうやら運転手さんは、あらかじめ目的地を伝えられていたみたい。
「ねえ、ナナセってば」
「ん?」
「誰かに見られたらどうするの」
「そのときは婚約発表でもするか」
「へ?」
「俺はお前も仕事も手放す気ねーよ」
「……ナナセ」
「それでも。どうしても、どっちか切らなきゃならなくなったら。そのときは潔く引退だな」
「笑えない」


