結ばれない運命〜愛する人は空の彼方へ〜

私は廉に背を向けた。

彼のマンションのオートロックのインターホンを押した。
いくら押しても応答はなかった。
私はなんて事をしてしまったんだろうと、後悔の念に駆られた。

マンションの外に立っていると雨が降って来た。
まるで私の大粒の涙が雨に変わり、辺りの音を消した。
次に気づいたのは初めて見る天井の景色だった。

「やっと気づいたか?」

聞き覚えのある声の方へ視線を移すと、そこには廉の姿があった。

「廉、ここは何処?」

「俺のマンション」

颯のマンション前に戻って、雨が降ってきて、そこから覚えていない。

「あいつのマンション前で急にぶっ倒れたんだ、だから俺のマンションに運んだ」

「ごめんなさい、迷惑かけて」


「あいつの側にいるのは、相当大変なんじゃないか」

私はなんて答えていいかわからず俯いた。

「もし良かったら話してみろよ」

私は廉に彼の事を話し始めた。

「バツイチ子持ちのカリスマ美容師」