結ばれない運命〜愛する人は空の彼方へ〜

「鍵忘れたのか」

「そうじゃなくて、まだ合鍵彼から貰ってなくて……」

「そうなんだ、車乗れよ、ここに止めとけば帰ってくるのがわかるだろ」

私はちょっと戸惑った、廉の車に乗るのはまずいんじゃないかと。
彼は助手席のドアを開けて、エスコートしてくれた。

「ありがとう、じゃあお言葉に甘えて」

そして車に乗り彼の帰りを待った。

「凛、俺達やり直さないか」

廉の言葉に動揺してしまった。

「何言ってるの、私達十年前に終わってるでしょ」

「俺は後悔している、あの時なんで凛を手放したんだって」

「しょうがないよ、廉には婚約者が居たんだし、なんで結婚しなかったの?」

「凛を忘れる事が出来なかった」

「今更そんな事言われても遅いよ」

「今なら、俺のやる事に口を挟む奴はいない、だから結婚しよう、凛」

廉は私の腕を引き寄せ、抱きしめた。
その時私の視界に入って来たのは颯だった。
私は颯の姿を見つけ、車から降りた。