びっくりし過ぎて、私の機能は全停止したように固まった。

「どうしてここに居るの?」

「それはこっちのセリフだよ、このマンションに住んでいるのか?」

「違う、違う」

「今の彼氏がこのマンションの住人か?」

私はどう答えていいのか困って俯いた。

「図星か」

「まだ、彼氏じゃないから……」

慌てて否定すると、廉はふふっと笑い「凛は変わってないな」と私の手を引き寄せた。
数センチの距離まで顔が近づき、急な事でドキッとした。

その時私は別の方向へ引き寄せられ、抱きしめられた。
その相手は颯だった。

「颯さん、どうしたんですか」

「ちょっと具合悪くて戻ってきた」

確かに彼の表情は血の気が引いていた。

「大丈夫ですか」

「大丈夫だ、それより……」

そう言って彼は廉を睨みつけた。

「人の女に手を出すとはいい度胸してるな」

廉は大きなため息をついた。

「人の女?凛はあんたを彼氏と認めていないみたいだが……」