「そのカットやってくれた美容師の名前は?」

「大和 颯」

「大和 颯?」

菜々美は驚きを隠せなかった。

「ちょっと、凛、その人すごい美容師さんよ」

「そう」

「もしかして、それだけじゃないわね」

ギクッ、もうどうしよう。

「この美容師さん二十九歳よ、何があったの?」

「これから先、私の専属の美容師になりたいって言われた」

「専属?」

「だから料金高いし、払えないからって断ったよ」

「それで」

もう菜々美はすべてをわかっているかの様に私を見つめた。

「そしたら、デートしてくれたらその回数だけカット・カラーを無料にしてくれるって」

「デート代は凛が払うの?」

「大和さんが払ってくれるって」

「それで」

「昨日、ドライブに誘われて行って来た」

菜々美は大きなため息をついた。

「その分今度カラーをやって貰えるって事?」

「そう」

菜々美は暫く考え込んでいた。