いつもお金が無いニートの私にご馳走してくれる、心優しい親友である。

待ち合わせ場所で私を見つけた菜々美の第一声は「どうしたの?その髪、すごくよく似合ってる」

「美容院行ったの」

「それは見ればわかるわよ、くじでも当たったの?」

「まっ、そんなとこかな」

私は菜々美にどう話せばいいか迷っていたが、順番に話し始めた。

「この間、スマホを拾ったの、それを持ち主に届けて、持ち主が美容師さんで、お礼にカットしてもらったの」

「凛、私達何年の付き合いだと思ってるの?それだけじゃないわね」

ドキッとした、菜々美には隠し事出来ない、昔からそうだったな。

「白状しなさい」

「もう、菜々美は怖いなあ」

「まず、何処の美容室?」

私は覚悟を決めて話を始めた。

「渋谷のフェニックスって言う美容室」

「渋谷のフェニックスね」

「ねえ、凛、この美容室カリスマ美容師がいて、若い女性にすごい人気で、予約取れないみたいよ」

「そうなんだ」