社長の立場で距離を置かれては、たまったもんじゃないと、黙っている選択肢を選んだ。

それからは、約束はせずとも毎日居酒屋で一緒に呑み、語り明かした。

ある日俺は凛を自分のマンションへ招いた。

「えっ?このマンションに住んでいるの?」

「あ、うん、でも友達の所有だから、借りているんだ」

「そうなんだ、友達はどこかの会社の御曹司?」

「そうそう、すごく金持ち」

「そう」

「な、凛、俺と正式に付き合ってくれよ」

私は即答出来なかった。
恋愛にはトラウマがあり、一歩踏み出す勇気が無いのである。

次の瞬間、私はグッと腕を掴まれ、引き寄せられた。
廉の顔が間近になり、ドキドキが止まらない。

「凛は可愛いな、真っ赤になって」

「やだ、からかわないで」

「からかってないよ」

そして廉とキスをした。

廉のマンションで朝を迎えた。
昨夜はドキドキして、甘い夜を廉と過ごした。