祐くんは首を横に振りながら答えた。
「ママにはちゃんと守ってくれる人がいるから、僕は必要ないんだ」
私は今、目の前にいる子供と話をしているとは思えない位戸惑っていた。
そして祐くんは言葉を続けた。
「パパにも凛ちゃんいるから、僕は必要ないかも……」
私はビックリして、そんな事ないよと声を掛けようとした瞬間、彼が遮った。
「祐、凛にはまだOK貰ってないが、例え貰ったとしても、俺に祐は必要だ」
「ほんと?パパ」
祐くんは目を輝かせて喜びを表した。
「凛ちゃんにOK貰えないのは、パパの努力が足りないんだよ」
「そうか、じゃ、もっとぐいぐい口説かなくちゃ駄目だな」
まるで二人の会話は大人同士の会話かと勘違いするほどのやり取りだった。
動物園に行った。
何年ぶりだろう、祐くんはずっと私と手を繋いでいた。
車から降りて来た時は全く笑顔が無かったのに、今はニコニコして私に懐いている。
「祐、珍しいなあ、凛の事気に入ったのか?」



