そこに居合わせたのが廉である。

まさか居酒屋に将来を期待されている若き社長がいるなんて夢にも思わなかった。

実は20歳の頃身分違いの恋に失敗して、もう二度と身分違いの男性は好きにならないと自分に言い聞かせていた。

私は商売をしている両親に育てられ、お嬢様には程遠い立場である。

20歳の頃の恋は身分違いの為、相手の会社の役員に別れてほしいとお金を渡された。
受け取らなかったが、自ら身を引いた。

廉は社長と言う自分の身分を隠して、私と向き合った。

私が社長とは付き合いたくないと話していたからだ。

私は居酒屋で廉の姿を追うようになった。

気さくで話やすく、奢り昂る態度が無く、一緒にいると落ち着いた。

玉森コーポレーションで働いていると聞いた時は御曹司?と思い、もう、会わないと思ったが、廉曰く、苗字が一緒だから間違われると言われ、胸を撫で下ろした。

この時俺は凛に強く惹かれていた。