凛が見つからず、途方にくれていると、スマホが鳴った。
凛からだった。

「凛、何処にいるんだ」

「廉、助けて」

消えるようなか細い声で助けを求めていた。

「凛、どうした、今何処だ」

俺は凛の途切れ途切れの声を頼りに凛のいる場所へたどり着いた。
その場の悲惨な状況に驚きを隠せなかった。
すぐ救急車を呼び凛を病院ヘと運んだ。

凛は一命を取り止めた。
俺はずっと目を覚ますまで凛の傍らで見守った。

「廉」

「凛、大丈夫か」

「あんまり大丈夫じゃないかも」

「すまない、俺のせいだな」

「婚約者を大事にしてあげて」

「凛!」

それから凛は俺に背を向けて眠った。
俺は毎日凛を見舞った。
百合絵は病院へ入院する事になった。
あれ以来、凛は俺と顔を合わそうとしない。

凛の症状はだいぶ回復に向かっていた。
俺は仕事の合間に凛の病院へ行ってるので、この日は気が緩み、居眠りをしてしまった。
凛が俺に微笑んで、キスをしてくれた夢を見た。