結ばれない運命〜愛する人は空の彼方へ〜

「それなら、早急に出て行ってくださらない?」

こんな二人の会話が交わされてる事など、知らずにいた俺は、凛が待っていると信じて、マンションへと急いだ。

凛はマンションを出る準備をしている最中だった。

「凛、何処へ行くつもりだ」

「廉」

「ここに居ると約束しただろう?」

凛は黙ったまま手を動かしていた。
俺は凛の手を掴んだ。

凛は俺に背を向けて、その手を離した。

「凛、行くな」

「廉、ごめんね、私は社長である廉とは結婚出来ないよ」

俺はこれ以上凛を引き止める事は出来なかった。
社長である以上凛を説得する事は出来ない。
俺は一旦引き下がる事にした。

凛は俺の元を去っていった。

俺は親父に会いに行った。
元はと言えば、親父の親友である百合絵の父親と、子供同士を結婚させるなどと言う約束を交わした事が、間違いの元だ。

「廉、久しぶりだな、仕事は順調か」

「ああ、俺を誰だと思ってるんだよ」