病院に着くと、颯は眠っていた。
私は颯の手を握り、じっと見つめていた。

「凛、おはよう」

「颯、おはよう、泊まる用意してきたからずっと一緒にいようね」

「ああ、もっと早く凛と巡り会いたかったな」

「そうだね、でも今こうして一緒にいられるんだから……もしかして巡り会えなかったかもしれないし……」

「凛」


次の瞬間、颯は呼吸困難になり、ナースコールをした。

先生がやってきて処置を始めた。
薬を投与して、颯の症状は落ち着いた。

「先生、颯は大丈夫ですか」

「この薬で落ち着いていますから、大丈夫です」

私はこの状況に戸惑いを隠せなかった。
手が小刻みに震えて止まらなかった。

それから五日後の朝早くに颯は旅立った。
私を一人残して……

祐くんとお祖母様に連絡をした。
私は祐くんの様子が心配だった、しかし颯の姿に祐くんは涙も溢さず、でも唇を噛み締めて、私の手を握り、肩を震わせていた。