結ばれない運命〜愛する人は空の彼方へ〜

彼は信じられないと言った表情を見せた。
私は「颯、お願い」と顔の前で両手を合わせて懇願した。

「一晩だけな」

私は思わず笑顔になり「ありがとう」と言った。
彼は照れた表情を見せて、マンションに入れてくれた。

「荷物どうしたんだ」

「まとめてアパートに置いてあるの、明日中に部屋空けないといけないから、取りに行かないと」

「そうか、あいつに一緒に取りに行って貰えばいいんじゃないか」

彼はそう言って私から視線を逸らした。

「だから、廉とはなんでもないから」

「なんでもないのにキスしてたのか」

彼は声を荒げて私に食ってかかった。

「キスなんてしてないよ」

私は彼とは反対に静かに答えた。
そう、彼は廉に嫉妬していた、私の気持ちが廉に向いていると勘違いをして……

「ごめんなさい、私が軽率な態度を取ったから、颯に嫌な思いをさせて」

彼は悲しげな表情で私を見つめた。

「颯が大好きなの、颯の側に居させて?」