檸檬色の日々



あの日から生きてていい理由が見つからない。


おばさまたちはあの子が大切にしていたものだからと私を雇ったままでいてくれた。

だけど大切なものを失った心は、徐々に黒く染まってく。

その過程を近くで見てきた。


ヒカリのことを大切に思うひとはたくさんいる。

そのひとたちに同じ思いをさせてしまうわけにいかない。そのひとたちが悲しめば、きっとヒカリも悲しむから。


私は願っちゃいけない。
望みを叶えちゃいけない。

だから人間はカラーレスを創ったんだと思う。


「…さようなら、ヒカリ」


もう此処には来てはいけない。帰ろう。帰って、おばさまと話をして、それで、自分がどう在るべきかを考えよう。

今まで私に居場所をくれていた人を苦しめない答えを出したい。


もう裏切りたくない。


「サンの気持ちはねーのかよ」


縋るような星色の瞳。

強さも、弱さも、優しさも、すべてが込められたようなその目が、本当に好きだった。

一緒に生きたい。

キスをするのではなく、ぐ、と想いを飲み込んだ。


「カラーレスに感情はありません」


答えることを拒んだ。


「そんなこと、本当はないんだろ」

「…ねえヒカリ。次は、きっときみと同じものに生まれてみせるから」

「次……」


そう、次。
次は、命を持って生まれてみせる。


「その時もしまた出逢えたら─── 気持ちを伝えさせてね」


身分も、5分なんて時間も、何も気にせず会えるように、私は、やっぱり願うし祈るよ。

だからきみもそうしていて。


こんな気持ちで夢から覚めることを、どうか許して。

信じて。