食堂の白井さんとこじらせ御曹司

 今日は月曜日です。いつもよりも30分も帰りが遅くなっているんでした。
 スーパーの夕方タイムセールに間に合わなくなってしまいます!
 学生相談室とプレートが付いている扉をノックする。
「留守にしています。ご相談内容とお名前、連絡先を記入して相談箱に入れてください」
 ドアの隣に置かれた小さな机にはそんなメッセージと、南京錠のついた郵便受けが置かれていました。
「ここに入れればいいのかな?」
 一言メッセージを書き加えて郵便受けに入れることにします。
【学生食堂へ寄せられたご意見から、大学への申し送りです。ご不在のようでしたので、こちらに入れておきます。食堂の白井】





ご意見【カレーとアイスミルク試してみたら、本当に辛くなかった!これでカレーが食べられる!ありがとう白井さん!】
ご意見【モーニングって、朝って意味じゃないから!】
ご意見【甘納豆がない!】
ご意見【俺は辛いカレーが食べたい!】
ご意見【いやいや、白井さん面白すぎwww】


「はい、白井ちゃん」
 今日は火曜日のはずです。
 ご意見箱の用紙回収は、週に1回月曜日だと聞いたはずですが……。
 昨日、確かにご意見に返答をして掲示板に張り出しましたよね?
「どういうことでしょうか、チーフ」
 なぜか、終業時間終了5分前に、またもやチーフが紙を持って目の前に立っています。
「ふふふ。白井ちゃんのメッセージが大評判。気が付いてなかったのかい?」
 え?
 そういえば、掲示板を見ている人がいるなぁとは思っいましたけれど。
 いつも通り、注文の品を捌くのがやっとで、食堂の様子はあまり気にしている暇はありませんでした。
「ほら、やっぱり。これこれ、見てごらんよ。いつもよりもアイスミルクの注文数が多いとは思ったら、白井ちゃんの手柄だねぇ」
 アイスミルクの注文?

【カレーとアイスミルク試してみたら、本当に辛くなかった!これでカレーが食べられる!ありがとう白井さん!】

 チーフに見せられた紙にはそう書かれていた。
「は、はぁ」
 手柄ですか……。
 売り上げに貢献するとかしないとかは、どうでもいいのですが……。
 ありがとうですって。
 ふ、ふふふ。
 お礼を言われてしまいました。
「無理しなくていいんだけど、残業できそうだったら、頼むね」
 手元の紙は5枚。
 残業代30分。時給+25%アップ。