奏に何か返事をしなきゃと、ベッドの中で文面を一生懸命考えた。



いつの間にか一時間目開始のチャイムが鳴る。



スマホを見ながら固まっていたら、突然ベッドのカーテンが開いた。



驚いてカーテンの方を見る。



「奏…」



そこには、奏がいた。



「なんで…」

「『なんで』はこっちの台詞だ。お前全部俺の電話無視しやがって、どんだけ心配したと思ってんだよ」

「…」

「教室探しに行ったらいねえし。クラスの奴らに聞いたら保健室って言うから来たらスマホ触ってサボりかよ」



奏がちょっと怒った顔で言う。



その顔さえも好きだと思ってしまい、益々つらい気持ちになった。



「いいの、放っといて…」

「おいお前…」



そのとき、「あれ、神城くん、どうしたの?」と保健の先生の声が聞こえた。



どこか行ってたらしい先生が戻ってきたみたいだ。



「くるみちゃんが心配だったので…」



猫をかぶって奏が答える。



先生は呆れたようにため息をついた。



「心配するのはいいけど、授業始まってるから戻りなさい」

「いや、あの…」

「はい、戻る! 杉谷さんは病人なんだから邪魔しないの!」



奏は、先生に押し出されるようにして保健室から出された。



ひとまずほっと息をつく。



先生、大感謝…。



でも、奏とは距離をちゃんと取りたい…。



『昼休み、校舎の裏んとこ来い。話ある』



奏から通知が飛んでくる。



話?



どうせ説教かなんかでしょ。



俺がどんだけ心配したかってそう言って一方的にあたしの気持ちだけ弄んで自分はあたしの気持ちなんて気にもしないで。



あたしは決心した。